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…で、意気込んで、会場の扉を開けたとたん、私は しまった! と後悔することになる。
ひゃー!
私は、本当に最悪な状況に陥っていた。
周りいた新入生の女の子たちが、こちらを見て目を丸くしている。
そして、
「なあに、あのみすぼらしい服―」
「本当に新入生?使用人じゃない?」
なんて言いながら、くすくすと笑っている。
うわぁ、そんなに大きな声で言わなくたっていいのに。
色とりどりの豪華なドレスを着た彼女たちの目に、ボロボロの黒いワンピースを着た私が映っているんだと思うと、たちまち恥ずかしくなってくる。
もー、やだなあ、
こんなことならオシャレを少しでも勉強してたら良かった。
ううん、それより、透明人間になる魔法を練習するべきだったかも。
そうしたら、この格好も、ゆでダコのように真っ赤であろうわたしの顔も、隠すことができたのに。
魔法が使えないことを、こんなに恨めしく思ったことはなかった。
その時、「女のいざこざ」という10代向けの小説を思い出した。
ちょうど主人公の女の子がこんな場面に遭遇する場面がある。
いじめにあう主人公を、強気な女の子が一人、
「あんたたち、この子をいじめるなんて、どうかしてるわ」
なんて言って助けに出てくるという、あの場面。
だから私もそれを期待してみたけれど、60人の新入生のうち女子はたったの15人のようで、15人とも私を見て笑っている。
現実は、そう上手くはいかないようです。
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