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それから式が終わるまで、存在を消すように、俯いたままでいるつもりだった。
だけど、彼女たちに何も言い返せなかった悔しさからか、目頭がじんわりと熱くなるのが分かる。
涙がこぼれてしまわないように上を向く。
でも、やっぱり俯く。
そしてやはり上を向く。
…早く終わって
「最後に」
学園長の声が大きく響いて、私はとっさに顔をあげた。
「ここは普通の学園ではないことは、皆も気がついておるじゃろう。
魔法が掛かったこの学園の中には、誘惑や試練、変化や希望、他にも沢山のことが君たちを待ち受けておることじゃろう」
新入生の誰もが、ゴクリ、と息をのむ。
「そこで、これから4年間の間、チームを組んで頑張ってもらうことになるのじゃ。
チームで様々な授業や試練、テストやイベントをこなし、どのチームよりも強くなるよう競ってもらう。
チームは最高5人までじゃ。まあ一人のチームも一応あり、ということにしようかのう」
そして、学園長は、「しかし、これだけは覚えておくがよい」と言って、私に視線をまっすぐ向けた。
「魔法というのは不思議なものでのぅ、一人の力だけでは全く成長できんのじゃよ。」
ズキン、ときた。
ひとりのチームでもいいんだってホッとしていたのに、それさえも見透かされてしまったんだ。
「今日の夜、8時に、ダンスパーティー会場にチームで集合するように。
歓迎パーティーじゃ。
それまでに、チームを完成させよ」
そして、学園長は、会場の時計台に右手を向けた。
次の瞬間、時の魔法使いである彼の力で、時計の秒針の動きが減速した。
「時間を増やしたのじゃよ。12時間の時間を与えよう。
それでは、ゲーム開始」
次の瞬間、すべてが薄暗い闇に包まれた。
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