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あわわっ
暗くて周りがよく見えない。
とりあえず瞬きをして、目を慣れさせようと必死になった。
周りの人たちはすでに、魔法で光を出したり、チームの相手を探し始めている。
おっと、大変。
このままじゃ、本当に取り残されちゃうな。
でも、いったいどうやってチームをくめばいいの?
よく知らない人に向かって、「仲間になって!わたし魔法使えないけどね!」なんて、言えるはずがない。
「あ…っ…わあっ」
その時私は、何かにつまずいてこけてしまった。
運の悪いことに、今できたばかりの、女子2人、男子2人のチームの前で。
「ぷっ。やだぁ、かわいそー」
「大丈夫?魔法も使えない貧乏人さん」
女の子たちが、きゃははと笑う。
「うっわ、この子、めちゃくちゃ可愛いじゃん!」
「やべえ…」
二人の手が、ゆっくりこちらに伸びてくる。
もう、無理です、学園長…。
お願いだから、もうほおっておいて…
悔しさと、情けないという思いから、ぐちゃぐちゃになって立ち上がれない。
その時。
ボワァッ…
オレンジの炎が、勢いよく私の周りを囲っていた。
同時に、男の子たちは悲鳴をあげて、遠ざかった。
「なによ、あんた魔法使えるんじゃない」
そういって、彼女たちは消えてしまった。
会場にはもう、わたし一人。
この炎は、私を守ってくれたの…?
これは本当に、私の魔法なの…?
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