始まり

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「あーそういえば花宮、夜なのに大丈夫かな。まぁ、あいつだし平気か。」 そんなどうでもいいことを呟いて、今さっきあったことを忘れようとする。 ガチャと音がして部屋のドアがドアが開いた。顔だけ向けると月村がいた。 その手には水を入れてあるコップがある。 「どうしたんだよ」 月「これを」 歩いてきて俺にはそのコップをさしだす。俺は苦笑してそれを受け取る。 呪いの発作のせいで喉が渇いてしょうがなかった。 月村はそれを外で覚ったのか水を用意してくれたらしい。水を一気に飲み干す。 渇いていた喉が潤っていく。 「サンキューな」 月「いえ。あまり無理をしないように。」 「あぁ、わかってる。」 そう言うと月村が少しだけ、ほんの少しだけ微笑んだ気がした。 月村は普段から笑ったりしない。感情を表に出さないのだ。 「今日は寝ていいぞ。」 月「わかりました。では」 俺の言葉を受け取ってさっさと部屋を出て行った。俺は横むきにベッドに倒れこむ。 「なんでこんな時にあいつの顔が浮かぶんだよ。……くっそ。会いてぇ。」image=441768575.jpg
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