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「――!」
誰かが俺の名前を呼んでいる。なつかしい誰よりも愛おしい声。でも俺はそれを守れなくて…
俺の1番好きな笑顔が見れなくなったのも自分が無力だったから。
月「――!――!!」
「!?」
月村の声がして目を覚ました。体を起こせばベッドの隣で不安そうに俺を見ている月村がいた。
「どうしたんだよ」
俺は苦笑しながら月村に顔を向ける。月村はまだ少しだけ不安そうだ。
心配してくれているのか…
月「うなされてましたよ」
「何の夢、見てたんだろうな」
ハハっと空笑いすると月村は立ちあがった。背中を向けて部屋のドアに向かう。
月「服はそこに置いてあります。昼食を用意してあるのでおはやめに…」
「あーそういやそうだったなぁ。もうそんな時間か」
月「それと……」
黙ってしまったのでベッドから出て部屋着を脱いで、月村が用意してくれた服に着替える。
月「彩南様の名前を呼ばれていましたよ。」
「…まじか。ハハッ…なさけねーのな…っ」
名前を聞いただけで胸の奥が締めつけられる。今でも思い出せるのは、大好きで仕方なかった愛しい笑顔。
心配性で俺の周りの人、俺の事、いつも心配していた。だけど、いつの間にか離れてしまった。
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