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涼太は学年でも人気で、誰からも信頼されていた。
俺はそこまで賢くなかったから、学力では涼太に勝てなかった。
でも俺には体力があった。それなりに運動神経もよくて、バスケ部ではエース。
試合でいい結果を出せば涼太は自分のことのように喜んでくれた。
涼太の葬式にはクラスのみんなが呼ばれ、俺と彩南はもちろん部活の仲間も来ていた。
涼太は美術部に入っていて、そこでは涼太が何よりも誰よりも俺には輝いて見えた。
涼太の描く絵が好きだった。
写真の涼太は笑っていた、棺桶の中に入っている涼太も笑っていた。
『なんで笑ってんだよ、なんでそんな顔してそこにいるんだよ、呼べよ、俺の事、呼べって!!なぁ、涼太!!おい!!!』
その時の俺は必死だった。必死に涼太を呼んでいた。
それでも彩南は泣いていなかった。俺も泣きはしなかった。俺達2人はきっと実感がなかった。
そこでただ眠っているのだ、と。
きっと明日になったらいつもと変わらぬ笑顔で、俺の事を、彩南の事を呼ぶんだ。
それでも現実が俺たちに突き刺さった。
朝起きていつもの待ち合わせしている時間、場所に行っても涼太は来なかった。
『なぁ、彩南。涼太いつ来るの?』
彩『……涼ちゃんはね、もう来ないんだよ』
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