守りたかったもの

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彩南とは高校が同じだ。クラスも同じ。 高校は彩南が行く高校を狙ったのだ。だけど、クラスまで同じとなると神様でも居るんじゃないだろうかと思った。 だけど、神様なんて存在を俺は信じない。 いつだったか、彩南は俺に 『信じないからいいことないんだよ!』 なんて言われたけど、本当にそうなのかもしれない。 学校が同じでも、クラスが同じでも... 彩南の記憶に俺はいない けじめをつけた理由は、涼太のことも彩南のことも守れなかったから。 月村はいつも俺のせいじゃないというけど、俺はそう思ってる。 ――…俺のせいだ 彩南は俺と一緒に涼太の墓参りに行った時に、俺の目の前で事故に遭った。 そしてそこで記憶を失った。彩南は俺の事以外を覚えている。 俺の事は全部忘れてしまったのだ。 それから俺は彩南の傍にいる。彩南は多分迷惑がっているけど... 俺は涼太との約束を果たしたいから。 月「そろそろ行きますよ。」 リビングの方から月村の声が聞こえてきた。 「はいよー!」 俺は月村に聞こえるぐらいの声で返事をした。 顔を洗ってタオルで水を拭きとってリビングに向かう。 涼太は俺に手紙を描いていたらしい。死んだら俺に渡してくれと両親に言ってたらしく、死んだ次の日に母親から手紙をもらった。 その内容はいろんなことが書いてあったけど、1番伝えたかったのは、きっと 『お前が彩南を幸せにしてあげて』 って文だと思う。その文字の上には涙の痕が残っていたから。 悔しくて仕方なくて、でも自分じゃ幸せにしてやれる力がない事を涼太はわかっていたんだと思う。
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