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… こわい！
だれかに助けてもらわないと…
口を開くが 声は出ない
声を出そうとしても 「あ」さえ 出ない
男の方を見た。
寝たふりをしている。
私は 体を動かした。精一杯の抵抗だ！
しかし 男は 手を離そうとしない。
相変わらず 寝たふりをしている。
『止めろ！』
『痴漢です！』
口を開けても 声は出ない…
体はぶるぶる 震えている
『恐い！恐い！恐い！』
私は 思いきり 立ち上がった。
声は出ない…
隣に座っていた男は 舌打ちをして 席を移動した。
恐いのと 腹が立つのと ほっとしたのと 終わったのと…
訳の分からない感情で 涙が溢れ出した。
降りるバス停近くまで 涙は 止まらなかった…
私は 駅で顔を洗い 家に帰った。
体の震えは止まらないまま…
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