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パトカーのランプが周りの景色を赤く照らした。
時計は朝五時をさしているが、少し肌寒くなってきたこの季節の空はまだ暗かった。
そんななか、彼はタバコの煙を吐き出しながら死体を見つめている。
町からすこしだけ離れた林でその事件は起こった。
「…まぁ、おかしな死体だなぁ。」
「そうですね。…なんていうか…」
「ああ、人の手じゃあとてもじゃねぇが無理だろうな。」
そこにある死体は手、足、胴、頭…全ての部分がバラバラにされた死体だが、おかしなところがある。
断面があり得ないくらい綺麗なのだ。
死体なのにどこか美しさを感じるほどに綺麗な断面は人の手でやったとは思えない。
しかも見たところ、その死体は死後、そんなに時間が経過していない。
「例の連続猟奇殺人事件…ですかね…。」
「だろうな。…大沢。署の方に連絡を入れておけ。」
「わかりました。」
彼はまたタバコの煙を吐き出し、タバコを灰皿へ入れた。
「この町でも起こった…か…。」
頭を掻きながら小さく言葉を呟いた。
陽が昇りはじめ、西の雲が赤く染まってきた時のことだった。
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