1人が本棚に入れています
本棚に追加
カツカツと音をたて、久保田は黒板に転校生の名前を書いた。
「それじゃみんなに、自己紹介してくれー。」
語尾を伸ばす癖のある久保田のしゃべり方も今は気にならない。
事件が起きたこの時期の転校生…。
何故かすごく惹かれるものがあった。
「…北嶋咲…。よろしく…。」
…
教室が沈黙につつまれていた。
すごく声が小さい。見た目からしてあまり喋るイメージはないが、その通りのようだ。
その空気は美佳が拍手しはじめたことにより、歓迎する雰囲気となる。
「みんな仲良くしてやれよー。あ、北嶋の席はあそこな。」
北嶋…さん、の席は俺たちの窓側の席とは反対の廊下側だった。
久保田が何か話しているようだが、耳には入ってこず俺は事件のことを考えながら北嶋さんの方を見た。
「…っ…!」
ちょうど北嶋さんの事を見た時に視線が合った。
…なんか、気になるな…。
転校生がきた日の事件。
偶然か?
「…以上で今日の日程は終わりだ。んじゃ、各自休み時間にしてくれー。」
久保田が今日の日程を説明し終え、教室をドアを閉め出ていったようだ。
気づくとチャイムが鳴っていた。
最初のコメントを投稿しよう!