4人が本棚に入れています
本棚に追加
女の笑い声が聞こえる。
冷たく、心の奥底が凍り付きそうな笑い声だ。
俺は彼女かと思い、目を開いた。
吹雪に白く霞む視界に、女が白く浮かび上がる。
俺は怨嗟の言葉をぶつけようとするが、もうそんな体力も残ってないらしく、唇すら俺の意思通りに動かなくなっていた。
女の白い影が近づいてくる。
吹雪にもぶれる事なく、まっすぐ滑るように。
そこで、さすがに朦朧とした俺の頭でも、それが可笑しい事に気づいた。
女は変わらず冷たい笑い声を上げている。
女の足が目の前にくると、吹雪が止んだ。それは女の周りだけで、少し離れた場所では、轟々と吹雪く音が響いている。
女の足は素足に草履を履いただけで、深い雪に沈む事なく、そこにあった。
その足は白い着物の裾から覗いている。
俺は女を見上げた。
白い足、白い着物、銀色にも見える白い髪。
白く美しい女。
ああ、これが雪女か……。
俺は何故か、感動していた。
最初のコメントを投稿しよう!