属性主義

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担任が来るまでやることもなく空を見る。 オレが管理者から与えられた属性。 もうわかってるとは思うけど言っておこうか。 "主人公キャラ"。 そんなふざけた抽象的な属性がオレの役割。 まぁ、"主人公"といってもいろいろある。 正統派な熱血主人公とか、ダークヒーロー系主人公とかな。 幸いなことに属性主義は、『自分の持っている属性のイメージで構わない』となっている。 それがあまりにも世間のイメージと離れていなければ、という制約もあるけど。 そんな感じで、オレは勉強のために少し遊んだ学園ラブコメ系主人公をやっている。 「ほれ、御主等いつまでも騒いでおらんで席に着くんじゃ」 教室の扉が開くと同時に芝居がかった台詞と共に小柄な、一見小学生にも見えそうな女性教師が現れる。 既にいろいろツッコミたいとは思うが、さらに凄まじいものはその頭と尻にあたる部分についてる物。 それは、狐耳と狐の尻尾。 「沙代ちゃん、相変わらず可愛いっすね!」 「小西、担任を名前で呼ぶではない」 「いやぁ本当にお付き合いしてくだ……」 「五月蝿い、男子!」 バンッと机を叩く音と共に怒声が響いた。 眼鏡をしたミツアミの少女が立ち上がりグルリと教室を見回す。 「あなた達もうHRは始まってるのよ。いい加減に静かにしなさい」 「うむ"委員長"の言うとおりじゃ。皆の者、これからHRを始めようぞ」 そう言って担任が独特の口調で出席の確認を取っていく。 あの小柄で狐娘で時代がかった口調の担任の名前は槐沙代。 属性は"ロリババァ"だ。 正直言って、管理者はなぜこんな属性をも作り出したのか問いただしたい所存だ。
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