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「ははは、確かにな」
オールバックの青年竹田仁とショートの青年山田英樹、という俺達三人は懲りずに話を続ける。北川と上原の方を見ると、なにやら楽しそうに話していた。
それはその日の夕方に起きた出来事である。委員会があり、帰りが遅くなってしまい急いで帰ろうと廊下を走り教室にたどり着いた時、北川はまだ帰っておらず教室で本を読んでいた。
夕日が当たる教室で本を黙々と読む北川はなんとなく神秘的で話しかけることができずに教室のドアを開けたままの状態で立って彼女を見つめている俺。
しかし、いつまでもこの状態でいるわけにはいかないしこのチャンス(なにがチャンスなのかわからないが)を逃してはいけないと思い、俺は声をかけた。
「帰らなくていいの」
「ええ、なっちゃんを待ってるから」
「そうなんだ………」
会話終了。これ以上続かない。必死に何か話のネタはないか頭を巡らせる。ふと、昼間の会話を思い出した。
「そ、そういえば北川は上原と仲良いけどいつからの知り合いなんだ?」
「近くに住んでいて幼なじみなんです」 「そ、そうなんだ。えーと、何の本読んでいるの」
「赤毛のアン」
「面白いの?」
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