0人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「面白いよ」
「どんな内容なの?」
「まだ始めの方だけど………」
と言ってあらすじを説明してくれる。その楽しそうな様子に打ち解けた気がしてうれしかったのでつい口がすべったのかもしれない。
「そうか、でも上原さんってうっとうしくないの?」
場が凍った。
「………確かに強引な所もあるけれど、優しい人だよ。なっちゃんを良く知らないのに、ひどいこと言わないで」
怒らせてしまった。謝らなくては
「ご、ごめん。俺にできることならなんでもするから、許してください!」
ん?俺何をくちばしったんだ。
「………なんでも?」
北川が繰り返す。しかし口に出した以上は何でもやるしかない。
「なんでも!」
「じゃあ、やってもらおうかな」
北川の悪い笑みに、早まったかもしれないと早速後悔してしまった。
*
12月18日。俺は北川と待ち合わせをしている紅駅に来ている。今日は学ランではなく長袖のTシャツ。時間は10時。俺は何をさせられるのか不安でいっぱいだった。
「ごめんなさい、ちょっとおくれちゃった?」
走ってきた北川は、ジーンズに黄色のTシャツに白いカーディガン、それから黒いポシェットをした可愛い姿である。
最初のコメントを投稿しよう!