『雪』~初恋~

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春や夏ならば、"公園に行く"という選択肢もある。 だが、今は冬。 とてもじゃないが、長時間、外にはいられない。 「いつ、行けばいい?」 『とりあえず、……先に行ってて!』 友達は、いつも暇という割に時間については曖昧だ。 大抵、私は待たされる。 「わかったー。はやく来いよ!」 『了解した!』 電話を切り、外出の支度を始める。 …と言っても、部屋着にしているパーカーに、上着を羽織り、スウェットから作業着のズボンに穿きかえるだけ。 きっと、友達もニッカポッカを穿いてくる。 決して仕事をしているわけじゃないけれど、バッグを持たなければいけない手間が省けるから、ちょっと遊びに行くときはいつもこの格好だ。 持ち物は、全てズボンのポケットに入れる。 財布と携帯電話、そして……煙草。 私は、いわゆる"不良"になっていた。 学校での私は"優等生"。 先生からの信頼も厚く、素行も悪くない。 それは、厳しい親からの、プレッシャーからだった。 私は、学校だけでなく、親戚の前でも猫を被りつづけていた。
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