2人が本棚に入れています
本棚に追加
春や夏ならば、"公園に行く"という選択肢もある。
だが、今は冬。
とてもじゃないが、長時間、外にはいられない。
「いつ、行けばいい?」
『とりあえず、……先に行ってて!』
友達は、いつも暇という割に時間については曖昧だ。
大抵、私は待たされる。
「わかったー。はやく来いよ!」
『了解した!』
電話を切り、外出の支度を始める。
…と言っても、部屋着にしているパーカーに、上着を羽織り、スウェットから作業着のズボンに穿きかえるだけ。
きっと、友達もニッカポッカを穿いてくる。
決して仕事をしているわけじゃないけれど、バッグを持たなければいけない手間が省けるから、ちょっと遊びに行くときはいつもこの格好だ。
持ち物は、全てズボンのポケットに入れる。
財布と携帯電話、そして……煙草。
私は、いわゆる"不良"になっていた。
学校での私は"優等生"。
先生からの信頼も厚く、素行も悪くない。
それは、厳しい親からの、プレッシャーからだった。
私は、学校だけでなく、親戚の前でも猫を被りつづけていた。
最初のコメントを投稿しよう!