2人が本棚に入れています
本棚に追加
――空は、曇っていて薄暗い。
私は、ショッピングモールに着き、入口のすぐ横にあるベンチに腰掛けた。
ポケットから煙草の箱を出し、そこから一本を取り出してくわえ、ライターで火をつける。
煙草を燻らせながら、あらかじめ買っておいた缶コーヒーに口をつけた。
(アイツ…はやく来ねぇかな…)
ボーッと、目の前の景色を眺めてみる。
と。
そこに、私のよく知る人物の姿を見つけてしまった。
その人物は、煙草を手にこちらに近づいてくる。
(どうしよう……!)
私は、心だけが焦り、身体は固まってしまった。
視線も逸らせない。
そんなんじゃ、相手にも気付かれるのは当然だった。
「……紗織?」
「雪生兄ちゃん……」
私の……初恋のヒト。
…そして、従兄弟だ。
最初のコメントを投稿しよう!