『雪』~初恋~

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「久しぶりだな」 「……うん」 緊張して、うまく話せない。 私は、男の人と付き合った経験がないわけではない。 けれど、…今は一年に一回しか会えないということもあるが、やはり好きな人と話すのは慣れない。 …―――そう。 私は、未だに雪生兄ちゃんが好きだった。 どう思われてしまうかが怖くて、想いを伝えたことがない。 幼少の頃は、よく遊んでもらっていた。 私はどんくさくて、すぐどこかに躓いて転んでしまうから、雪生兄ちゃんは『危なっかしい』と、私の手を握っていてくれた。 そういう、雪生兄ちゃんの優しさが私の中で積み重なり、いつの間にか淡い恋心が生まれたのだった――。
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