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駅とは逆の方向に足を進める。
こんな時間だからか、人がほとんどいない。
小さな公園を見つけて、自販機で紅茶を買ってベンチに腰掛ける。
ほんと寒い、家に帰ればよかったなぁ。
「何だろう、これ。」
足下に何か落ちている。
「カギ?古いカギみたいだけど、」
角度を変え何度か見つめてみる。
と、
「はっ?」
いきなり音楽が消えた。
『カギ、返して下さい。』
「えっ?」
『カギ、返して。』
「やっぱりカギなんだ。やだ、俺が拾ったから俺の。」
『返して下さらないのなら敵とみなして良いと認識させていただきますが。』
敵?何言ってんだろ、こいつ。じっくり見つめてみる。
長く緩いパーマのかかった黒い髪。二重に長い睫毛。色白の肌。身長は150もないだろう。
『聞いているのですか?攻撃しますよ?カギ返して下さい。』
「攻撃?このカギ何のカギ?家とかじゃないよな…。」
『あなたには関係ありません。返して。』
「ヤダって言ったじゃん。これ俺のだし。」
『私のです!早く渡して下さい。』
なんでこんな古いのを、
にやっと笑って首に掛ける。制服の中にいれた。
「冷たっ、」
『あっやだっ、カギっ。』
「残念、これで取れないね。」
彼女はムッとして、俺を睨んでくる。本気で。
全く怖くないのだか。
『仕方ありませんね、覚悟して下さい。手加減は致しませんよ。』
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