音のない楽譜

突然の、

持ち歩いているのだろうか、というか法律的にダメだろう。

「日本刀？はっ？えっ？」

カチャｯ

『はぁぁああっっ』

「いきなりっ？うおっ。」

ベンチ斬れたぞ、まじでやべー。こいつやべー。
何してんのか分かってんのか？

『逃げないで下さいっ』

「ちっ、めんどくせーな。」

女の子相手に手出したくなかったけど、そんなこと言ってられないな。

このままじゃ確実にやられる。

偶然にも運動能力はずば抜けているのだ。

少し距離を取り、振り上げる瞬間素早く近づき体を支え刀を下ろしたと同時に手首を掴み捻った。

ガシャン

『何をするのですかっ』
「俺を殺す気か？危ないだろうが。」

『言ったでしょう、カギを返さないと敵とみなすと。』

「限度があるだろ、限度が。」

『すみません。でも、それだけ大切なものなんです。』

「これ何のカギ?そんな良いものに見えないけど…。」

『言えません。』

「何で?教えてよ。俺、今暇なんだよね。」

『言えません。というか分からないんです。』

「分からない？」

『はい。話せば長くなりますが、』

「いいよ。俺、今暇って言ったばっかだし。」

『では、』