第一話:黒猫の居る屋上

2/5

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「ねぇ、聞いて!さっき購買で五十嵐君と話しちゃったの!」 一週間の殆どを過ごすこの教室で、飽きもせずに、何時もの様に仲間の中心人物である、春野霞が言う。 周りも、何度も聞いた似たような話題に相槌を打つ。 …聞きたくないなぁ。 そんな事を考えていたら、イチゴミルクが無くなった。 私はラッキーと思ったが、すぐに考え直す。 昼休みがおわるまでまだ十五分あるけど、先ほど購買で買ったパンは、わざわざジュースを買い足すほど余ってはいない。 残り時間微妙な癖に、わざわざ行くって不自然じゃね? 付き合い悪い奴だと思われるッ…!! しかし、天秤に掛けた瞬間、ソッコーで聞きたくない方が勝った。 「あー、私、ジュース買ってくるわ。無くなっちゃった。」 「私のちょっとあげようか?」 察してよ、春香。 あんたは超いい子だけど、時たま鈍いよ。 「今、ココアよかコーヒーの気分だから。ありがと、春香。」 財布をスクールバッグから取り出すと、足早に購買に向かった。 何かを振り切るかの様に…。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加