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教室を出るときに少しだけ、彼女たちの会話が聞こえた。
「恋愛の話になると、付き合い悪いよね。」
楽しそうに笑う皆。
私は自分がここに特にはいらない存在であることを痛感した。
†
購買に着くと既にそこには人気はなく、財布を持って自販機に向かって歩みを進めると、向こう側から一足先に誰かやって来て小銭を入れた。
(あ…。)
一目見て、誰だか分かった。
さっきまで話題に上っていた『五十嵐君』こと五十嵐・拓海と、その『五十嵐君』と何時も一緒にいる、通称『二年の王子』の相澤・遥。共に2-3。
有名なのは相沢君の方で、一年の時から文化祭のスタコンで優勝してる、うちの学校のアイドルな人。
五十嵐君は、何時も相沢君に絡まれてる、万年学年首位の男。
…て以外知らない。
「あ、吉川さん久し振り。」
「あ…久し振り、相沢君。」
「教室違うと中々会わないよね。」
一年生の時、相沢君とは同じクラスだったから面識はあったけど、話しかけてくるとは思わなかった。
「誰?」
「一年の時に同じクラスだった、吉川・未来さん。」
「嗚呼、あの吉川さんか。宜しく、五十嵐拓海。」
「よ、宜しく…。」
意図せずに五十嵐君とお近づきになってしまった。
気を取り直して、コーヒー…。
「あ!!」
愛飲しているコーヒーが売り切れていた。
五十嵐君の手の中にあったのは、同じ銘柄のコーヒー。
お前が最後の一本か!!!
気付いたらしい五十嵐君との間に微妙な空気が流れる。
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