一億階ある塔

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冬。 この時期になると寒いと感じる。 現在、授業を受けていても教室の暖房で眠気が差してやる気が起きない。 それに授業内容もまだ一年生だから難しくない。 しかし、それにしてもクラスの半分の生徒が寝てるのはまずいと思う。 自分もその仲間に入ろうかと思っている。 けど、隣には学級委員の「結城 優希」と言う美人で校則に厳しい女子がいる。 名前がゆうきが二つもあるから初めて聞いた時は嘘だと思ったが、違った。 とにかく、結城さんがいるので寝たら叩き起こされるのは間違いない。 今がとにかく退屈で暇な時間か全国の男子諸君ならわかってくれるはず。 まぁ、今に限った話じゃない。 毎日だ。 理由は何か特別な理由があるわけではない。 だが、毎日が退屈なのだ。 だから…僕が一番退屈な授業中何をするか。 落書き。 んなわけない。 寝る。 できない。 誰かにいたずらをする。 飽きた。 なかなかバレないから。 外の景色を窓から眺める。 これである。 これなら誰にも迷惑は掛からないし、話なら一応聞けるし、色々と誤魔化せる。 実につまらそうに見えるが、実は意外に楽しい。 通り道歩く人が何をしているか見ていて楽しい。 流れていく雲を見ていて飽きない。 校庭で体育で男子がバカをやっているのを見ているが楽しい。 遠くの景色が何気なく変わっていくのを見て楽しい。 とにかく、外を眺めるのは楽しい。 それで少しニヤッとしていると、結城さんがこっちを睨んでいた。 睨まれて耐えない僕は結城さんに訊いた。 「結城さん、何で僕を睨んでいるんですか?」 「あなたが授業中なのにニヤッとしていたからよ。」 あぁ…やっぱりか。
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