一億階ある塔

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アルケー。 まるで本当に別の世界の人みたいだ。 「僕は島崎裕太です。」 「では裕太。あなたはいつからこの塔が見え始めたの?」 「今日です。」 「…ならあなたを招待あげるわ。一億の塔へ。」 僕とアルケーは塔の入り口まで来た。 入り口はあまりにデ大きい門があり、電動ではなさそうなので、どうやって開くのか疑問だった。 「私はアルケーだ!門よ、開きなさい!」 すると、頑丈そうな扉は開かれた。 「裕太、付いてきなさい。」 「は、はい。」 門の中をくぐって見ると、中は本当にファンタジーのような聖域みたいな場所になっていた。 「あのー…ここは?いやこの世界の名前は?」 「この世界に名前はないわ。」 「ないんですか…?」 「この世界はあの世とこの世の狭間なのよ。」 「えっ…」 「だから街が同じで人がいないのはそれが理由。」 全く理屈がわからなかった。 頭で理解できるほど、僕は訳がわからない状態だった。 「はぁ…」 「その顔はわからないって顔わね。まぁ…無理もないわ。」 アルケーさんは近くにあった神聖な雰囲気が出ている椅子に座り、僕も椅子に座らせられた。 「あのー僕は帰れるんですか?」 「あぁ帰れるわよ。ただ、訊きたいことがあるの。」 「なんですか?」 「一億の塔の頂上に行きたい?」 質問内容が驚きだった。 一億階ある塔の頂上に行ってみたいが、何故そんなことを言い出したかはわからない。 「行きたいです。ただ…なんかメリットがあるんですか?」 「メリット?それは…どんな願いも叶うことよ。」 また驚愕の内容だった。 どんな願いでも叶う。 そんなの嘘みたいな誰が信じるだろうか。 だが、そこにはまったく嘘の匂いしなかった。
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