rk1クエスト道均し

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禁領:サザラナ平野  名無しの幼魚は探索計画「道均し」を選択した。  名無しの幼魚は宿木に対し100zelを契約料として支払った。      ***  今回受けた探索計画は、サザラナ平野内のとあるルートの巡回だ。  指定地点から西へと伸びる道を兎に角進み、国境付近まで移動する。それだけの計画である。国境越えは含まれておらず、その手前──エリア13と呼ばれる地点まで辿り着けば終了となり、そのままパーチに帰還する事になる。  主に、平野を経由して国境を移動する際に使われるその道は、宿木が禁領内で設定しているルートの中でも比較的人通りの多い道とされているが、舗装などがされたものでは勿論無く。探求者がこまめに道を歩き、禁領の外とは比べ物にならない速度で伸びてくる草葉を払い、何処からかやってくる忌種達を追い払って、漸く道の体裁を維持出来ているというレベルなのだ。今回の計画も、ルート維持を目的とする定期的な活動の一環である。  探求者となって間もない者は、まずこうした道の維持のような“探求者達の探索を支えるための計画”が提示される事が多いらしい。  表向きは、探求者生活に慣れるために簡単かつ難度の低い計画を回している。裏を見れば、下っ端はまず組織の役に立つ仕事をしろ、といったところか。      ***  中間層の終わり。目的地であるサザラナの平野が間近に迫った地点。  禁領の特徴となる独特の気配と共に、全てのものが淡く紫色に染まり始めた辺りで、名無しの幼魚はその影達と遭遇する。  姿形は野の獣と然して変わらず、しかし内から漏れ出す力の気配は並々ならない、異質な生物。禁領が持つ陰の因子に適応し、身体を変化させた獣、忌種である。  彼らは名無しの幼魚という獲物の存在に気づき、散開。名無しの幼魚を包囲しつつ、徐々に徐々にその距離を詰めてくる。  名無しの幼魚は無言のまま荷物を下ろして身を軽くすると、己の武器の柄を握り締め、次の行動を思案する。 仕掛けて一点突破か、待ちに入って確実に反撃を入れていくか。いっそ範囲攻撃で一息に潰してしまうか。  どちらにせよ。  この程度の相手、容易く蹴散らす事が出来ないなら、禁領に足を踏み入れる資格など無いだろう。
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