36人が本棚に入れています
本棚に追加
朝。
「……」
目を覚ます。
「……」
しばし思考したあと、
「……またか」
ベッドに寝ている、そのままの体勢で、
「ふー……」
桂は、それはそれは深い溜息を吐いた――瞬間。
ガラガラガラッ
「あっけましておめでとーーっ!!」
「!!ぎゃーーーっっっっっ!!!」
隣人の登場とほぼ同時に、今度は、それはそれは大きな叫び声をあげた。
「な、何!?」
窓を開けて入ってきたのは、言わずもがな、幼なじみの保臣である。二人の部屋は二階にあるのだが、家と家の間がかなり密接しているため、お互いの部屋を窓から行き来するのは日常化している。
(……カギ……)
最近は、ほとんど窓のカギをかけることはしていない。それが当たり前になってしまっていたので、今更後悔してもと、二度目の溜息を桂は心の中で吐き出した。
「お前どうしたの。いきなり叫んで」
「……」
だが。この非常にマズイ状況は、何とか回避したい。
「保臣、お前確か、おばさんの田舎に行ってたんじゃないのか?帰ってくるのは明日だったはずだろ」
つとめて冷静に、桂は話しかけた。
最初のコメントを投稿しよう!