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「俺だけ一足早く帰ってきた。だってさ、三十一から三日までしか部活休みないじゃん?それ全部田舎に費やしちまったら、お前と遊ぶ時間無くなっちまう。じーちゃんばーちゃんには悪いけど、わがまま言って帰らせてもらった」
「……ふーん」
「昨日の夜中には帰ってきてたんだけど、お前の部屋電気ついてなかったから、今にしたんだ――って。お前ホントどしたの?さっきからずっとその体勢だけど」
仰向けの寝姿勢を変えず、布団から一歩も出てこようとしないことに疑問を抱くのは、当然といえば当然か。
「実はな」
近付こうとしてきた気配に、桂は声を発して、その行動を止(とど)めさせる。
「昨日から体調が良くないんだ。熱もある。お前に移したら悪いからな。今日のところは帰ってくれないか」
「どれどれ」
ぴと
「!!!ぎゃ……ふぐぐっ」
「体調悪いのにそんな叫ぼうとしたら、もっと悪くなるだろ。おじさんとおばさんも驚いて起きちまう――って???別に熱くないな……」
しかし足止め出来たのはわずかの間で、保臣は遠慮なく近付き、そして手を桂の額(ひたい)に乗せてきた。
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