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『俊君、いきなり電話してごめんね?』
『いや、いいよ。どうしたの、急に?』
柳瀬真衣さん、香奈の友達。
『最近香奈から何か聞いた?』
『いや?』
『香奈、肺ガンなんだって...』
わけがわからなくなっていた。
『え?ちょっと、なんの冗談だよ』
『冗談言って何になるの?』
電話の向こうから聞こえてくる声は上の空で、頭に出てくる最近の香奈。
時折見せる暗い顔。
なんでだよ...
電話を切って闇の中を走り出す。
地下鉄の中でも、バスの中でも落ち着かない。
落ち着くわけない。
いつもの「早く会いたい」とは違う気持ちが溢れてくる。
早く会いたい...
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