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私の名前は本田 茜(ほんだ あかね)。 森羅万象学園に通う高校一年生。 私が通っているこの学校は他とは少し違う。 何がかと言うとカリキュラムに魔術師の育成が組み込まれている。 私が生まれ育ったこの岬市という土地は古くから霊脈があり、特に町の中心に建っている学校は霊脈がいくつも重なり合う、要は分岐点みたい場所で霊力が強い。 だから、いろんな物が集まって来る。 霊やら妖怪やら天使、悪魔それに神だって。 その中には害がある奴もいて、それで私達がいるって訳。 私は一度も実践経験がないんだけど。 まぁ、それは置いといて、これは私の日々の苦悩を描いた泣ける物語なわけよ。
「本田、号令。 ん!? どうした、本田? おーい。」
「先生。 気持ち良さそうに寝ていまーす。」
「全く、しょうがない奴だなぁ。 起こしてあげなさい。」
「ほら、茜! 起きなよ。」
「はいっ! 先生! 饅頭はもう食べられません。」
しまった! 寝ぼけてつい。 予想通りクラスの全員に大笑いされた。
「全くお前という奴は・・、いいから号令だ。」
「きりーつ。 礼。」
はぁ、朝から最悪だよ。
「今日は皆に転校生を紹介する。」
クラスがざわめく。 男の子か女の子か、相当気になるらしい。 私にはどうでもいい事だが。
教室に入って来たのは男の子だった。 この時、少しでもかっこいいと思ってしまった私がバカだった。 まぁ、それは後々分かるとして、男の子は身長は160cm後半で髪は黒で男の子にしては少し長い。 肩辺りまである。 何よりも印象的なのは瞳が紅いことだ。 顔をみる限りハーフではなさそうだけど。
彼は黒板に自分の名前を書きはじめる。
「上狩 凜(うえもり りん)と言います。 好きな事は昼寝で、嫌いな事はいろいろありますが、面倒臭い事は全般的に嫌いです。 よろしくお願いします。」
淡々と話す彼を見て、苦手なタイプだなと思ってしまった。 人とあまり関わりたくなさそうなオーラが滲み出ている。 だが、皆は温かく拍手で迎える。 私も皆につられてしまった。
「じゃ、席は・・窓際の一番後ろでいいか?」
上狩はこくりとうなづく。
「本田、転校したばかりで不自由も多いと思うから上狩の事頼むな!」
つまり、私の隣という事だ。 私は渋々承諾した。
「私、本田 茜。 よろしくね。」
私は満面の笑みを浮かべた。
「ああ、よろしく。」
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