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本当に愛想が無い。 絶対前の学校で友達いなかったよこいつ。 というか、この時期に転校ってどうなのよ? まだ、新学期始まって早々の四月下旬。 家の事情かな?
「この時期に転校なんて珍しいね。 何か事情でもあるの?」
「別に。」
とっかかりにくい。 それでもこのまま何も話さないで引き下がるのは気が引ける。
「家は近いの?」
「普通。」
「どこらへんなの?」
「あっちの方。」
「音楽とか聞く?」
「あまり。」
「何か趣味とかないの?」
「昼寝。」
「好きな食べ物は?」
「無い。」
・・・ぶっとばしていいですか?(笑)
てか、最後の質問何だよ! 小学生か?
「お前、強いの?」
向こうから話し掛けて来るなんて思ってもみなかった。 少しびっくり。
「実践経験は無いけど、私の家系は代々魔力がそこそこ強いのよ。」
そう、私の家系はその歴史を西欧に持つ。 西欧と言えば、魔術の本場。 私の家はぞくに言う中流貴族だ。
「なんかはっきりしないな。 俺はお前の事聞いたのに。 階級は何だ? 聖人か? 亜聖か?」
こいつの言う階級と言うのは魔術師としての能力の高低を示す物。 下から順に 吏・士・大夫・卿・相・亜聖・聖人そして、その上に神人(キリシタン)がいる。 基本的に士以上は妖怪や精霊と契約を交わす事が許されていて、その力を身に宿している。 神人に至ってはその身に神を宿している。 日本国内でもその存在は貴重で両手の指で数えられる程度しかいない。 階級昇格試験は地方の教会でそれぞれ行われるが、亜聖以上に関しては魔術発祥の地、イタリアのサン・ヴィターレ聖堂でしか取得できない。
「とんでもない! 私なんてまだ、大夫だよ。」
自慢し過ぎたかな? 大夫でも成人するまでになるのは難しいと言う。 高一の段階で大夫の階級を取得しているのはこの学校で私ぐらいかもしれない。
「ふ~ん。 大したこと無いんだな。」
ムカッ! 何なんだよこいつ!? そういうお前はどうなんだよ?
「てっ、いないし!」
「悪かった。 今度、お詫びに饅頭でも渡すよ。」
本当に頭に来る奴だ。 と、そう言えば今日の午前中は身体測定だったな。 私も着替えなければ、ん? 周りをよく見渡す男子ばかりが着替えている。 しまった女子は隣の教室か! これじゃ、私はまるで変態じゃないか!? おのれ~上狩め。 わざと教室の外に出やがったな? 後で覚えてろ。
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