忠と私

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そんな事を考えている内にオレはやっぱり菓子を持って少女の部屋を訪れていた。 だがいざ開けようとしても、開かなかった。 あの細腕ではオレの力には敵わないし、きっと何かで押さえつけている。 「メシア様、オレだけど、さっきは悪かった。朝は具合でも悪かったのか?あ――その、とりあえず開けてくれないか?」 「消えろ」 部屋の中から聞こえた声はとても冷たかった。 オレの存在を完全否定しようとするその声にくじけそうになる。 「菓子を持って来たんだが」 「いらない」 「でも――」 「消えろって言ってる」 「――分かった」 開けてくれないなら仕方ないと、オレは部屋に背を向けて座り込んだ。 部屋が開くまで待つつもりだった。 だからその後すぐに障子が開き、中からメシア様が歪な物を持って現れた時は驚いた。 「気が散る」 「何持ってんだ?」 「――ネンドール」 「――これがか?」 オレは彼女の持っている物に注目した。 人に見えなくもないそれは、顔はまだないがメイに似ている事に気付いた。
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