光と私

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すっかりいい所を持っていかれてしまった。 光は二人を見て溜息をついた。 だから言ったのに。 アンドロイドには感情なんてないんだと。 泣き疲れて自室で眠る、見た目少女なメシア様をそっと撫でる。 忠は風呂に入っていていないし、宏は彼女の行動自体に興味がないようだし。 今なら長時間彼女を独占できる。 それがちょっぴり嬉しかったりする。 隣に寝転がり、髪を指で梳いたり、くるくると弄ぶ。 起きていればきっとこの可愛い顔を何倍にも歪めて「やめろ」というのだろうね。 そのまま遊び続けると、ぴくり、と彼女が反応をしめす。 起きてしまうかな? それもいいかもしれない。 というか忠と入れ替えで風呂に入ってもらわなければ。 メシア様にはいつも一番に入ってもらっている。 だって大して仲良くない男の後なんて入りたくないよね。 忠なんて機械いじってばっかだから汚いし。 でも今日は時間的に我慢してもらうしかない。 時計を見るともう十一時をまわっていた。
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