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「おいおい、大丈夫か?」
「だい、じょぶ」
「医者を呼ぶか?」
「いい。ただの目眩だよ」
僕は二人に支えられながら立ち上がるが、すぐに床と向き合うこととなった。
そんな間も考えるのは怒って自室に戻ってしまったメシア様のことばかりで。
「僕、嫌われたのかな?」
「――さあな」
「だ、大丈夫だろ。多分」
宏はやっぱり医者を呼んでくると言って屋敷を出て、僕は忠に支えられながら自室に向かった。
布団に横になると少し呼吸が楽になったような気がした。
それから暫くして医者が来て診断した結果、ストレスによるものだった。
何がそれを引き起こしたのか心当たりはないのかと聞かれたが、まさかメシア様に嫌われたからだなんて言えなくて、僕は首を横に振った。
頭のいい宏は分かっていただろうけど。
僕は障子を開けて庭を見ながらメシア様の冷ややかな目を思い出していた。
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