光と私

7/9
前へ
/50ページ
次へ
次の日の朝、皆がそろうことはなかった。 誰もが予想した通り、メシア様が食事に来なかったのだ。 完全に部屋に閉じこもってしまっていて出てこない。 僕のせいだよね、と思うと辛くなる。 そんなに僕に触れられたくなかったのかな? 「また朝飯食えないのかよ」 忠ががっくりと項垂れた。 「オレが呼んでくる」 「いや、僕が行くよ」 宏が立ち上がろうとするのを僕は制した。 自分のせいなのだから、自分で何とかしなければ何も解決しないと思ったのだ。 「ねえ、メシア様、起きてる?」 僕はメシア様の部屋の前まで来て、少しためらった後に声をかけた。 だが中からは何の音も聞こえてこない。 まさかと思って障子を開けると其処には誰もいなかった。 トイレかどこかに行っているのだろうか。 それともまさか――消えてしまったのか? 光に包まれて現れたように、光に包まれて消えていく姿が頭にはっきり思い浮かべられ、怖くなった。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加