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「メシア様、どこですか!?」
気付けば自分に似合わず大きな声で彼女を呼んでいた。
そんな僕の声が聞こえたのか二人がやってきた。
「何事?」
宏が冷静な声でそう聞いても、僕の動悸は治まらなかった。
遅れて忠も来て、僕はメシア様が居ないことを二人に告げた。
すると二人とも驚き、彼女の部屋を見回した。
「居ない――な」
忠が呆然としたように呟いた。
「探さないわけには、いかないな。でも大事にするのもな。とりあえず俺達だけで探してみよう」
不機嫌そうに眉を寄せて面倒そうに言う宏に従って、三人で手分けして探すことにした。
トイレにはいなかった。
裏庭にもいなかった。
一種の賭けだった屋根裏にもいなかった。
僕のせいで、いなくなったのかな?
そんなに嫌だったのかな?
そう思うと、また目の前がグラグラと揺れ始める。
そしてとうとう尻もちをついた。
その時だった。
「大丈夫?」
上から声が降って来て僕は気だるく思いながら顔を上げた。
するとそこには探していた少女が立っていた。
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