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【神などいないと思っていた。
いたとしても誰が拝むものかと思っていた。
この荒廃した世界を救ってくれない神なんて不要だと思っていたのだ。
だからこそ彼女が現れた時は驚いた。
光に包まれ、神々しく、美しい。
彼女はオレのこれまでの考えを逆転させ、これが女神なのかと思わせた。
だが実際に話してみれば、唯の我儘な子供だった。
その時の落胆は相当のものだった。
皆はメシア様などと呼ぶが、彼女にはなんの力もない。
子供を産める貴重な身体だということ、ただそれだけだ。
だからオレは彼女に必要性を感じないし、何の期待もしていない。
だってそうだろう?
期待した分、落胆は大きいと知っているのだから。
でも何故か気になってしまう。
いつの間にか目で追ってしまう。
彼女はもしかしたら自分にとって貴重な観察対象なのかもしれないと思った】
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