忠と私

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【初めて見た時から、胸が高まっていた。 彼女は一時間という長い時間光に包まれて空中で蹲っていた。 なんて綺麗で神々しいんだ。 きっと彼女は神の使いに決まっている。 そう思っていた時、彼女はようやく地に足をついた。 俺達はふらついた彼女を優しく支え、一人で立てるようになるまで一緒に居るつもりだった。 だが結局彼女は倒れてしまい、慌てて屋敷に運び、人を呼んだ。 それがいけなかったのだろうか。 既に老人の医者は涙を流し、こう言った。 「子供が産めるこの世界で唯一の体だ」と。 そんなつもりは無かったのに噂はあっという間に広がり、彼女はメシア様と呼ばれるようになった。 それを嫌がっているのを知っている俺達は精一杯のことをするつもりだった。 だが何時まで経っても彼女との差は埋まらないままだった】
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