お台場奪還作戦。帝国軍襲撃

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86式装輪装甲車を先頭に前進をし続ける。途中、破壊されたと思われるビルやレストランなどが目に写った。途中、治安維持部隊隊員の悲惨な死体があった。 体中、槍で刺されたり、剣で顔面や首、胴体などを斬られたりした死体などが存在した。現代での戦闘でこのような死体は存在しない。どれもひどすぎる。 「ひでぇな・・・」 乾はつぶやいた。マスクとヘルメットをしているため、その表情はわからない。 「うぇ・・・、吐きそうですよ・・・」 後輩自衛官の三沢が言った。口の周りにはゲロと思われるものがついている。 このような悲惨な状況に慣れていない新人自衛官、実戦経験のない自衛官たちはそれぞれ死体から目を背けたり、吐いたりしている。 実戦を経験している乾など一部の自衛官らは吐かないで死体の近くで、両手を合わせて合掌していた。お台場を守ろうとして死んだのだ。丁重に弔わなければならない。 道に散らばっていた民間人や治安維持部隊の死体は道からどかし、丁寧に置いた。その作業の中で涙を流している者までいた。 その作業の途中、なにか地震に近い音が響き始めた。 「なんだ?」 乾は86式装輪装甲車の車長、澤部軍曹に聞いた。「レーダーに100を超える熱源反応がこちらに接近中!異世界軍と思われます!」 無線機から怒鳴り声に近い澤部の声が聞こえた。 「全員、配置につけ!俺の指示があるまで発砲はするな!」 乾の指示で死体の撤去作業をしていた自衛官らはぶら下げていた75式小銃を持ち出し、86式装輪装甲車を中心に陣形を整えた。 乾も86式大型軽機関銃を構え、安全装置を解除した。 次第に地響きが近くなる。隊員たちの顔には汗が流れ落ちていた。 そして、目の前に騎馬隊や槍、剣で武装した黒い鎧の兵士たちが見えた。 「発砲良し!撃て!」 乾の指示で隊員」たちは75式小銃の引き金を引いた。86式装輪装甲車もそれに応じる。
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