お台場奪還作戦。帝国軍襲撃

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状況は同じだった。 毎度のように帝国軍兵が人海戦術で襲い掛かってくるが、近代兵器で武装した自衛官たちには敵わず、むなしく死んでいった。 途中、ガンシップによる航空支援などにより、まだ飛び始めていないドラゴンなどは抵抗することもなく、ミサイル攻撃により死んだ。 ドラゴンの鱗はかなり硬いらしく、7・62mm弾を使用する銃火器などではあんまり効果がない。しかし、プラズマや12・7mm弾にはさすがに耐え切れずにハチの巣にされる。 帝国軍も銃やボウガンなどの遠距離攻撃で応戦するが、科学技術の差により、どうすることもできない。しかも自衛官の装備するボディアーマーを貫通することすらない。 飛距離も75式小銃と比べると、まったくで当たったとしても豆鉄砲を食らったようなものだ。簡単に弾いてしまう。 東京湾海戦で帰る船を全て失った帝国軍はまさに袋のねずみだった。背水の陣で戦いを挑むが、結果は同じである。 このような悪いニュースにラーク将軍は怒り心頭だった。 「一体、どういうことだ!反撃する間もなくやられるだと!」 地図(自衛軍の作戦開始前に作成したものらしい)の置かれているテーブルを叩いて言った。 「敵は銃で武装しているようですが、かなりの高性能でものすごい勢いで連射ができるようです。我々、帝国軍はそれにより、敵はおろか遠距離から狙撃されたりするのがオチです!とても攻撃の出来ようがありません!」 マリシオ参謀もかなり混乱している。優秀な帝国軍を何万も連れてきたというのに、あっという間にやられてしまうとは出陣前から思ってもいなかった。 異世界では人海戦術が基本である。圧倒的物量で敵を攻撃し、そのまま叩きのめす。 それがこの現世世界ではまったく通用しない。いや、それが通用する時代ではないのだ。 すると、外で銃の連発する音が聞こえた。 「何事だ!」 ラーク将軍はマリシオ参謀と共にテントから外に出た。そこには悪夢が待ち受けていた。 黒い装甲服と、緑の迷彩色の防弾ベストなどを着た自衛官らが銃をこちらに向けていた。 その中には乾も混じっていた。 「あんたは死んで償え」 ラーク将軍はこの現世世界で文明の差に気がついた。次の瞬間、乾たちの銃が火を噴き、ラーク将軍とマリシオ参謀の体を貫いた。 お台場奪還作戦は自衛軍の圧倒的勝利で幕を閉じた。
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