異世界へ

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警察法の改正だけではなく、内閣の仕組みなども大きく変わった。 国家公務員の試験は以前よりかなり厳しいものとなった。 今までは某防衛大臣のようなアメリカ兵による少女暴行事件のことをなにも知らないような素人政治家が生まれないようにするためである。 この試験の効果はかなり抜群で、優秀な政治家がたくさん生まれた。 これも桜会の思惑が含まれていた。 優秀な政治家を生み出すことで、日本を戦前のような強い国家のイメージを取り戻すことも含まれていた。 その結果、確かに前のような弱腰の日本ではなくなった。 日本政府は桜会の思うままになったということになる。表には一切、知られていない。 桜会はあくまで秘密結社である。表には一切出ない。 第二次日露戦争後の戦後処理も全て桜会の計画の一部だった。 だが、そんな桜会でも解決できない問題がある。 それは天然資源の問題だ。北方領土問題は解決できているが、ほとんどロシアが吸い取ってしまったため、天然資源の確保が難しかった。 「とにかく、資源の確保が最優先だ」 大野は声を張り上げて言った。 「火星での鉱山発掘はなかなか進んでいないし、何よりもアメリカが邪魔しているからね。今回は結構期待できるわよ」 光本も言った。 「ならば移民をさせよう」 それを言ったのは古賀だった。突然の提案にさすがの光本と大野は驚きの表情を見せながら古賀の顔を見た。 「それはどういうことなのかね。古賀さん」 大野はさっきより目をいかつくし、古賀を見つめた。 「現在、我が日本国は人口増加問題に悩まされているのは、ご存知かな?」 「はい。それはここにいる全員がご存知です」 厚生労働大臣が言った。 「向こうの世界に移民を送り込もうと思っている。現にディメンションゲートから連中がやってきた」 「ですが、計画性がないものでは難しいのでは?」 光本は古賀に問いただした。 「実はあのお台場事件が発生してから、すぐに移民派遣構想は出来ていたのだよ」 古賀は光本や大野でも寒気を覚えるほどの笑みを浮かべた。
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