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トラックをしばらく進めると、民間人の車などが大量に無造作に乗り捨てられた道路に到着した。
車列はそこで止まった。それと同時に松本と乾は運転席から降りた。
後ろの86式装輪装甲車改1号車の乗降ハッチが開き、そこから機甲歩兵隊員が10名ほど降りてきた。2号車は機甲歩兵隊員が5名、普通科の自衛軍兵士が5名一糸乱れぬペースで降りてきた。手には最新の75式小銃が握られている。
トラックからも普通科の自衛軍兵士が降りてきた。
乾は86式装輪装甲車改の武器収納ハッチから86式大型軽機関銃を取り出した。78式軽機関銃より肉厚で大きく、強化装甲服を装着していないものが持つと、でかすぎると言っても過言ではない。
「点呼だ。作戦の再確認をするぞー」
乾はあくびをしながら言った。普通の自衛官なら罵倒されても仕方ないが、この部隊ではそんなルールはない。
号令ですぐに集まってきた。
「俺たちの作戦は簡単だ。指揮官の逮捕または射殺、取り残された民間人の救出、連中の制圧だな。俺の隊と諏訪隊、一個中隊、92式一両と86式一両は右翼から攻める。末田隊と松本隊は戦車部隊と守りが薄い左翼から攻撃だ。1時間後にはS(特殊戦略連隊)が応援に駆けつけてくれるだろうから、その時まで辛抱だ。これでいいか?」
簡単に作戦説明を行った。これでもわかりやすいほうだ。
「了解!」
松本たちは声を張り上げて返事をした。
「よし、作戦開始だ。行くぞ」
乾はマスクを装着し、ヘルメットを被った。これから見たことのない敵と交戦するとなると、実際緊張するものだ。
本来なら強化装甲服は重くて動きにくいはずだが、乾たちは特殊“手術”を受けているため、そんなことはお構いなしである。
今はとにかく前に進むことのみ。
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