0人が本棚に入れています
本棚に追加
「不思議の国を知っている?」
私立光程学園。
其処には十年程前まで、一つの定義に縛られていた。
其れは生徒一人一人が少なからず一つの大きな《力》を持つこと。
権力、財力、学力、武力…。どんな《力》だろうと、其れは此処で生き抜く為には必要不可欠だった。
しかし、其れは一人の少年によって打ち砕かれた。
少年は学園の頂点に立ち、新たな“定義”を与えた。
《自由》で在ること。
《規則》に縛られず、各々で《自由》を主張すること。
――否、其れを望んでいた。
其処に《規則》が生まれてしまったのだ。
其れは、《規則》と言うには当たり前過ぎた。
暗黙の了解だとも言えた。
生徒達は、最初の《規則》を壊した少年を恐れた。
齢六歳の少年を。
そしてやがて、少年は[逆らう者、邪魔な者、否定する者、其れ等に容赦ない悪魔]のレッテルを貼られることとなった。
そして、其の光程学園――別名・皇帝学園には生徒手帳に無い《規則》が生まれた。
〈生徒会長には近付くな〉
――斯うして彼は一人になった。
最初のコメントを投稿しよう!