「不思議の国を知っている?」

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「不思議の国を知っている?」

 私立光程学園。  其処には十年程前まで、一つの定義に縛られていた。 其れは生徒一人一人が少なからず一つの大きな《力》を持つこと。 権力、財力、学力、武力…。どんな《力》だろうと、其れは此処で生き抜く為には必要不可欠だった。 しかし、其れは一人の少年によって打ち砕かれた。 少年は学園の頂点に立ち、新たな“定義”を与えた。 《自由》で在ること。  《規則》に縛られず、各々で《自由》を主張すること。 ――否、其れを望んでいた。  其処に《規則》が生まれてしまったのだ。 其れは、《規則》と言うには当たり前過ぎた。 暗黙の了解だとも言えた。 生徒達は、最初の《規則》を壊した少年を恐れた。 齢六歳の少年を。 そしてやがて、少年は[逆らう者、邪魔な者、否定する者、其れ等に容赦ない悪魔]のレッテルを貼られることとなった。 そして、其の光程学園――別名・皇帝学園には生徒手帳に無い《規則》が生まれた。 〈生徒会長には近付くな〉 ――斯うして彼は一人になった。
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