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「貴方は。私がそう言っても止めてはくれませんでしたよね」
ううん。どうやら、この二人の間柄にはお昼のドラマよりもダークな事情がおありのようだ。
女性が、ゆっくりと指を上げて男性を指差す。
私は、地面に落ちてる細かいコンクリートの破片を二、三個拾って、女性の頭に投げつけた。
振り向く女性。その表情はどこと無く穏やかだが、なぜか背筋が凍りつく。
「なによ。貴方?」
「別に、ただの通りすがりですよ。これ以上貴方に暴れられるのもこちらの都合が悪いんで」
「そう、なら悪いことは言わないわ。とっとと帰りなさい。お嬢さん」
そう言って、まるで私など眼中に無いように男のほうを振り向くドレスの女。何だ、あの男、未だいたのか。逃げる隙はいくらでもあったろうに。
むかついたのでちょっと強めにコンクリートの欠片を女の頭に当てる。ガンという音。
あれ?ちょっと強すぎたかしら?
振り向いてじっとこちらを睨み付ける女。ここで気圧される訳にはいかない。
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