2 堀北沙希

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「貴方は。私がそう言っても止めてはくれませんでしたよね」   ううん。どうやら、この二人の間柄にはお昼のドラマよりもダークな事情がおありのようだ。 女性が、ゆっくりと指を上げて男性を指差す。 私は、地面に落ちてる細かいコンクリートの破片を二、三個拾って、女性の頭に投げつけた。   振り向く女性。その表情はどこと無く穏やかだが、なぜか背筋が凍りつく。 「なによ。貴方?」 「別に、ただの通りすがりですよ。これ以上貴方に暴れられるのもこちらの都合が悪いんで」 「そう、なら悪いことは言わないわ。とっとと帰りなさい。お嬢さん」 そう言って、まるで私など眼中に無いように男のほうを振り向くドレスの女。何だ、あの男、未だいたのか。逃げる隙はいくらでもあったろうに。 むかついたのでちょっと強めにコンクリートの欠片を女の頭に当てる。ガンという音。 あれ?ちょっと強すぎたかしら? 振り向いてじっとこちらを睨み付ける女。ここで気圧される訳にはいかない。
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