2 堀北沙希

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 朝七時。今日も快調に目覚めた。 テーブルでトーストをかじりながらおもむろにテレビの電源を入れる。適当にチャンネルを回して、ひいきにしているニュース番組にチャンネルを合わせる。 とはいっても、実際はどこの番組を見てもないようにたいした差はない 今、巷は一つの事件で持ちきりになっている。 事の始めは一ヶ月前。ある一人の会社員が惨殺された死体で発見された。死体は何十個もの肉塊に分解され、原型をとどめていたのは顔だけだったという。 しかも、その分解の手口が実に不可解なのだ。 普通、死体を分解するには、外側から外的な要因を与えない限り、腕や首が離れることはありえない。 だが、この死体は内側から、しかも、何か爆発物を使ったように破裂して本体と別れを告げている。 それから、一ヶ月の間に、似たような死体がこの一ヶ月で五体見つかっている。 警察の必死の捜査にも関わらず、犯人の目星どころか影すらも見えていない。 おかげで、世間ではこの事件のくだらないうわさで持ちきりだ。 朝食を食べ終えて、学校へ行く身支度を整える。制服のシャツとブレザーを羽織る。 そして最後に、たんすから、十字架のネックレスを取り出し、それを首にかける。 「さて、いきますか」
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