2 堀北沙希

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八時三十五分。朝のホームルームの五分前に昇降口にたどりつくことが出来た。ここから三階の教室まではおよそ三分。ウルトラマンがちょうど敵を倒し終わって、地球防衛軍の人がお礼を言っても未だお釣りの来る時間だ。 いや、カップラーメンのほうが分かりやすいかな? と、やはりいつもと違う時間ということでこの時間にしては珍しい人に会った。 「おはようございます。紗希さん」 山の山頂から湧き出る水の如く透き通った声が私の鼓膜を揺さぶった。 「ああ、おはよう蒔絵」 水方蒔絵(みなかたまきえ)私、堀北紗希(ほりきたさき)の友人で、純和風の日本人形のような白い肌をした女の子だ。 あ、日本人形って、全部和風か。 「珍しいわね。貴方がこんな時間に学校に来るなんて。いつも、よりかなり遅いじゃない」  蒔絵は、ふぁいと欠伸交じりの返事をした。 「昨日、ついつい夜更かしが過ぎちゃいまして」 「駄目よ。貴方は肌が白いんだから、熊とか作っちゃったらその綺麗な肌が台無しよ」  私だって、結構頑張ってるのに、蒔絵には適わない。うう、羨ましい。 「前からおもうんですけど、私ってそんなに肌白いんですか?」 「そりゃあね。それの十分の一でも私に分けて欲しいぐらいだもん。それで少しお化粧してみたらもっと可愛くなるのに」 「私、ああいうの苦手なんですよ。なんか、顔ついてると息苦しくって」
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