2 堀北沙希

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テストかあ。私も頑張んなきゃ。               ◇ 深夜十一時。私は、自分の家のリビングのテーブルにこの街の地図を広げている。そこに、首から掛けていた十字架を垂らす。 この地図には、この町の情報が全て刻み込んである。そこから、あの殺人鬼の痕跡を探り出し、その痕跡が、今どこを歩いているのかを突き止める。 「さて、どこにいるのかなあ」 何も反応せずにただ垂れ下がってるだけの十字架を地図の上で行ったりきたりさせる。 しばらくして、この町のオフィス街のところで十字架が大きくふれた。 「ここか」 十字架をポケットの中にしまいこむ。そして、キッチンの棚に入ってる小瓶を改造したベルトに固定させた。 「さて、いきますか」              ◇ 深夜一時半。 林立するビルとビルの間に作られた細い小道。満月の光も届かないこの細い小道の先は、黒で塗りつぶされていた。先は見えない。ただ、黒がその場で腰を下ろしているだけ。その道をまっすぐと歩いていく。
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