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ゴーン
ゴーン
ゴーン‥‥
離れた場所から寂しそうなーーー
ーーーでもどこか少し温もりのある鐘の音が聞こえる。
路肩に止めた車。
俊介はタバコを吸うために開けていた窓を閉じた。
車の隣を初詣の参拝客が列をなし、通りすぎていく。
普段は少し暗くなった頃には人っこ1人通らない道も、今日ばかりは深夜になればなるほど人が増えていく。
辺り一面で聞こえる同じ挨拶。
「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします」
聞きあきた。
家族、友人同士、恋人同士‥‥
皆が幸せそうな顔をして通りすぎてゆく。
ーーーあけおめ‥‥。
俊介はボソッとつぶやいた。
ーー。
返事はない。
車の中には俊介1人だ。
「はぁ‥‥。」
大きなため息をつくと、息が白く輝いた。
寒い‥‥。
ガソリン代節約のために切っていたエンジンをかける。
ギギーー!
ギ ギ ブルルゥン!!
おかしな音と共にエンジンがかかる
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