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「俺の婆ちゃんの家」
「「えっ!?」」
あ、ハモった。
「ソウヤ先輩にお婆さん居たの!?」
「いや、そっちかよ!?居たに決まってんだろ!」
早くも前言撤回だ。
「その、祖母殿は……アラガミに?」
珍しく歯切れの悪いティオ……あ、気を使わせたか?
「気にすんな。まぁ…だいたいそんな感じだ。怪我して、防衛班の人が病院に連れてったけど…間に合わなかった」
暖炉の前に行き、欠けたマントルピースの上に危なげに乗っている写真立てを手にとる。
「俺は死に目にゃ会えなかったんだが、婆ちゃんの最期の言葉通り今じゃ『誰かの役に立つ』仕事をしているっつーわけだ。……面倒臭いが、まぁ約束だしな」
言葉と一緒に白い息が吐き出される。
「……それで、ソーヤ先輩は何でここへ?」
「俺はトムじゃねぇよ。……このエリアでこの面子は初めてだよな?」
「確かに……そうじゃのう」
思い出すような仕草をしてからティオが応える。
「毎回このエリアにはソロで来てたんだが……来る度に立ち寄っては1つ持って帰ってたんだ。……習慣っつーか、癖っつーか…」
俺が普段使っているあの時計も、婆ちゃんの物だ。
さて、今日はこの写真立てにするかな……っと思っていたら
「では儂は何を持って帰ろうかのう」
「この時計とかどうかな?」
なにやら不穏な会話だ。
「おいおいおい!ちょっと待て、これは―」
「別に儂らのものにするわけではないわい」
「ソウヤ先輩、友情パワーで今日はポイント3倍デーだぜぃ」
「!……好きにしろ」
それがお前らなりの気の使い方なら、な。
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