はじまり

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橘家本邸 「お帰りなさいませ。佚雅様。」 「ただいま。」 端整な顔が笑い、迷わず異母弟の部屋に向かう 「至福ですわ。」 残された女房が騒ぐ 「一夫多妻の御時世に橘家三男で文武両道の美丈夫。」 「側室でもなられたい方はあまたにいらっしゃるけどいまだ独身。」 「密かに狙いたくなりますわね。」 (聞こえてるんだけど) 佚雅はため息をつきつつ歩く 母を知らないからか、女を大事にしない父と兄がいるからか、どうもしっくりこない カラッ 扉を開くと異母弟がそこにいた。 琥珀色の髪はオレみたいに一族を示す松葉…緑でないし、母が違うが、年も近く仲がよかった
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