時間のいたずら

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「あの…。」 「はい!」 「本題に入って良いですか?」 本題って何だ? いや、今喋るから。 焦るな、俺。 「はい。」 「あの……あって間もないですけど…」 彼女は電話口でもじもじと話している。 ……話しずらい事かな。 もしかして俺、朝何か失礼な事とか言ったとか!? だったら、謝らないとな…。 だが、彼女の言葉は俺の考えていたのとは全く違った。 「私と……デートして…くれませんか?」 ……デート? デートってあれだよな。 男女がお喋りしながら、街中歩いたりする、 あれだよな? 「…………。」 「…あの…。」 「あ、はい!デートですよね!? えっと…俺なんかで良いんですか?」 本気で不思議に思う。 こんな俺が彼女といて良いのだろうかと。 だから、突然のお誘いに驚き、混乱するが嬉しい。 とてつもなく嬉しい。 ……これってやっぱり 「はい!健二君が良いんです!! じゃあ、土曜日の9時で、森林公園で良いですか?」 「うん。大丈夫。」 「ありがとうございます! それではまた。」 「うん。じゃあ。」 電話を切り、携帯を閉じた。 ――健二君が良いです。 朝も言っていた気がする。 俺も時羽さんが良い。 時羽さんじゃ無いと嫌だ。 やっぱりこの感情って、 恋だよね? 俺は家に帰る。 雪を踏む音がこしょばしい。 俺は、掴むと雪見たいに消えてしまいそうな君に恋をしたのだった。 ――――――end
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